Clásicos japoneses con furigana
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こじょうのまひる
古城の真昼
野村 胡堂
Lee 古城の真昼 (こじょうのまひる) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 13.644 caracteres · 28 pantallas
城趾と見れば城趾、うっかりして居ると、崖崩れの跡としか見えません、今は用水堀に使って居るのが、当年の濠の跡で、注意して見ると、成程畳み上げた石垣や、四角に区画した城塞の跡らしいものが僅に残って居ります。
「ヤレヤレ疲れた、折角来たんだから、せめて小判の一枚も拾い度いものだが」
「小判一枚よりは、無事に命を拾って帰る工夫をした方がよかろう」
「ああ、命はいらないが、ビールが一杯飲み度い」
こんな下らない事を言い乍ら、一番の見晴しに出て、石畳の上に這い廻る蔓草の上に、めいめい腰を下しました。
目の覚めるような満山の緑、晴れやかな午前の陽を受けて、その清々しさというものはありません。藪や木立の隙間に、チラリチラリと動くのは、警固の警官百五十名の一隊でしょう。そんな事を考えると、あまり風流な気持にはなれませんが、関東平野を見下す眺めは、さすがに俗腸を洗い清めます。
「サア疲れが直ったら、そろそろ活動を開始しましょう。正午までに一時間半しか無い。まごまごすると、一年に一度の機会を失する」
一番先に蜂屋文太郎が起ち上りました。その後へ十一人の同勢、ぞろぞろ付いて行くと、道はうねりくねって城の裏手の山際へ出ます。