Clásicos japoneses con furigana
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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
Lee 古寺巡礼 (こじじゅんれい) de 和辻 哲郎 (わつじてつろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 143.765 caracteres · 285 pantallas
というのがあった。恵心僧都の始めた来迎劇はまだ生き残っているのである。
――高田の停車場へ帰ったころには、細い雨がハラハラと落ち始めた。といってひどく降る様子でもなかった。予定どおり久米寺や岡寺、飛鳥の古京のあたりの古い寺を訪れるのも、さほど困難ではなかったのだが、汽車にのって落ちつくと、連日の疲れも出て、もう畝傍で下りる勇気はなくなった。せめて畝傍神社だけでもといってY氏はしきりにすすめたが、誰も立ちあがろうとはしなかった。
右に畝傍山・香久山、左に耳無山、その愛らしい小丘の間を汽車は駛せて行く。古の藤原の京、飛鳥の京の旧跡は指呼の間に横たわっていた。奈良とはまた異なった穏やかな景色で、そこにこの土地を熱愛した祖先の心も読まれると思う。香久山の向こうのあの丘の間に多くの堂塔の聳えていた時代もあった。そこで推古・白鳳の新鮮な文化は醸し出された。さらにさかのぼれば、伝説の時代のわれわれの祖先の、さまざまな愛と憎みとが、この山と川とに刻み込まれている。この地が特にやまとであったということと、日本民族の著しい特質とは、密接な関係を持つらしい。
多武の峯の陰欝な姿を右にながめながら、やがて汽車は方向を変えて、三輪山の麓へ近づいて行く。