Clásicos japoneses con furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(一)
佐々木 味津三
Lee 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) de 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 220.431 caracteres · 428 pantallas
むろん、そばにはおなじみのおしゃべり屋伝六が影の形に添うごとくさし控えていたものでしたから、ちらりとそのお達しを小耳にはさんで、聞く下からもう例のごとくお株を始めながら、右門ともどもに不審を打ったのは無理からぬことでしたが、いずれにしても火急にというお達しでありましたから、伝六にも長旅の用意をさせて、さっそくご奉行所までやって参りますと、それがつまり忍行きの命令だったのです。しかも、今から取り急ぎ出立いたせという火のつくようなお奉行の命令で、命令だけは足もとから鳥の立つような気ぜわしなさでありましたが、肝心の内容についてはどういう事件がいったい起きたものか、そもそもだれの差し金であるか、少しもその辺の事を明かしてくれなかったものでしたから、明哲神のごときわがむっつり右門も、少なからずめんくらってしまいました。だが、めんくらうことはめんくらいましたが、もとよりそれは一瞬間だけのことで、右門はどこまでもわれわれの尊敬すべき立て役者です。あごの無精ひげを指先でつんつんとひっぱりながら、じっとご奉行神尾元勝の顔を見ているうちに、かれの玻璃板のごとき心鏡は、玲瓏として澄み渡ってまいりました。