Clásicos japoneses con furigana
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Lee 名人地獄 (めいじんじごく) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 149.286 caracteres · 301 pantallas
「そんな筈はねえ、きっと知ってる」
「おかしいな。おれは知らないよ」
「獅子ヶ岩から半町北だ」
「獅子ヶ岩から半町北と?」
「近来普請に取りかかったやしきだ」
「や、それじゃ『主知らずの別荘』か?」
「そうれ、ちゃアんと知ってるでねえか」
「その別荘なら知ってるとも」
「それがおれの主人の巣だ」
「ふうん、そうか。やっと解った」
「随分有名な邸だろうが?」
「銚子中で評判の邸だ」
「それがおれの主人の邸だ」
「そこでお前にきくことがある。何んと思ってあんな普請をした?」
「あんな普請とはどんな普請だ?」
「まるで砦の構えではないか」
「…………」
「厚い石垣、高い土塀、たとえ大砲を打ちかけても、壊れそうもない厳重な門、海水をたたえた深い堀、上げ下げ自由な鉄の釣り橋、え、オイまるで砦じゃないか」
「おれの知ったことじゃねえ」
「で、主人はいつ来たのだ?」
「うん、主人はずっと以前からよ……そうさ今から二月ほど前から、こっそりあそこへ来ているんだ」
「ほほう、そうか、それは知らなかった」
「ところが他のご家族達も、二、三日中には越して来るのだ」
「それで家族は多いのか?」
「うん、奥様とお嬢様と、坊様と召使い達だ」