Clásicos japoneses con furigana
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Lee 名人地獄 (めいじんじごく) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 149.286 caracteres · 301 pantallas
ポン、ポン、ポン!
ポン、ポン、ポン!
一音、一音が一つ一つ、冬夜の空間へ印を押すように、鮮やかにクッキリと抜けて響いた。
と、鼓は鳴り止んだ。
二人はホーッと溜息をした。
鼓の鳴り止んだその後は、鳴る前よりも静かになった。鳴る前よりも寂しくなった。
そうして凄くさえ思われた。
二人はビッショリ汗をかいていた。
その凄さ、その寂しさ、その静かさを掻き乱し、「泥棒!」という声のひびいたのは、それから間もなくのことであった。
戸のあく物音、走り廻る足音。「こっちだ」「あっちだ」「逃げた逃げた」詈る声々の湧き上がったのも、それから間もなくのことであった。
「そうか」
と浪人ははじめていった。「噂に高い鼓賊であったか」
「お気の毒に、一閑斎様は、能面でも取られたのでございましょう」
「ふん、それもいいだろう。金持ちの馬鹿道楽、あらいざらい盗まれるがいい」
賊は首尾よく逃げたらしい。
やがて人声もしずまった。
また静寂が返って来た。
サラサラと崩れる雪の音。……
「俺は鼓賊が羨ましい」
呟くと同時に浪人は、刀を提げて立ち上がった。
「どちらへお越しでございます?」