Clásicos japoneses con furigana
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Lee 名人地獄 (めいじんじごく) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 149.286 caracteres · 301 pantallas
で、誰か追分宿あたりで、甚三のうたう追分を聞き、さらに大江戸を流して歩く、甚内の追分を耳にしたとしたら、その差別に苦しんで、恐らくこういうに違いない。
「いやいやあれは甚三の唄だ。もし甚三が死んでいるとすれば、甚三その人の亡魂の唄だ」
とまれ甚内は追分を唄って、江戸市中をさまよった。しかし敵の手がかりはない。そこでまた彼は考えた。
「油屋お北は知っている。だが肝腎の富士甚内を、俺は一度も見たことがない。彼奴について聞き知ってることは、非常な美男だということと、着物につけた定紋が、剣酸漿だということだけだ。これではよしや逢ったところで、彼奴が紋服を着ていない限りは、敵だと知ることが出来ないだろう。これはどうも困ったことだ」
これは実際彼にとって、何よりも辛い事柄であった。しかしとうとう考えついた。
「うん、そうだ、いいことがある。唖者ではあるが、妹のお霜は、富士甚内を見知っている筈だ。妹を江戸へ連れて来て、一緒に市中を廻ったら、よい手引きになろうもしれぬ」
復讐の念いよいよ堅し
そこで周作に暇を乞い、故郷の追分へ帰ることにした。
この頃お霜は油屋にいた。