Clásicos japoneses con furigana
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Lee 名人地獄 (めいじんじごく) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 149.286 caracteres · 301 pantallas
「二、三人おりますでござります」
「ちょっと訊きたいことがある。多人数はいらぬ、一人出すよう」
「かしこまりましてござります」
やがてそこへ現われたのは、八助という水夫であった。
「八助というか、恐れなくともよい。遭難の様子を話してくれ。……で、賊船は幾隻あったな?」
八助はオドオド顫えながら、
「へえ、親船が一隻で」
「櫓の格子は赤かったかな?」
「いえ、黒塗りでございました」
「ナニ、黒塗り? ふうむ、そうか」平八は小首を傾げたが、「無論、帆船であったろうな?」
「へえ、さようでございます」
「異ったところはなかったかな?」
「へ? なんでございますか?」
「帆の形だ。帆の形だよ」
「へえ、べつに、これといって……」
「普通の型の帆船であったか?」
「へえ、さようでございます」
「ふうむ、そうか。……ちょっと変だな」
考えざるを得なかった。
「で、大砲でも打ちかけたか?」
「なかなかもって、そんなこと」
「大砲二門、備えている筈だ。そんなものは見かけなかったかな?」
「なんであなた、大砲など……」
「ふうむ、そうか、これもいけない」
平八はまたも考え込んだ。
「で、どうだな、海賊どもは、穏しかったかな、乱暴だったかな?」