Clásicos japoneses con furigana
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Lee 名人地獄 (めいじんじごく) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 149.286 caracteres · 301 pantallas
ぜひとも小船を仕立ててくれ」「残念ながらそればかりは……」「では、どうしても駄目なのだな」「どうぞお察しを願います」「ううむ」と唸ると平八は、絶望したように腕を組んだ。と、この時甲板の方から陽気な笑い声がドッと起こった。秋山要介を賓客とし、森田屋の手下の海賊どもが、酒宴をひらいているのであった。
ここは梵字丸の甲板であった。
十七日あまりの冴えた月が、船をも海をもてらしていた。船はしんしんとはしっていた。根拠地をさしてはしっているのだ。
大杯で酒をあおりながら、談論風発しているのが、他ならぬ秋山要介であった。武州入間郡川越の城主、松平大和守十五万石、その藩中で五百石を領した、神陰流の剣道指南役、秋山要左衛門勝重の次男で、十五歳の時には父勝重を、ぶんなぐったという麒麟児であり、壮年の頃江戸へ出て、根岸お行の松へ道場を構え、大いに驥足を展ばそうとしたが、この人にしてこの病いあり、女は好き酒は結構、勝負事は大好物、取れた弟子も離れてしまい、道場は賭場と一変し、門前雀羅を張るようになった。こいつはいけないというところから、道場をとじて武者修行に出たが、この武者修行たるや大変もので、どこへ行っても敬遠された。