Clásicos japoneses con furigana
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るそんのつぼ
呂宋の壺
久生 十蘭
Lee 呂宋の壺 (るそんのつぼ) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 18.375 caracteres · 36 pantallas
「なんじらの問いに答える義務はない」
という意味のことを叫びたてると、ポルトガル人が飛んできて、刀で吉之丞の腹を刺した。吉之丞は錠銀を腹巻に入れて腹に巻いていたので、いくどか刺されたが、いっこうにこたえなかった。
争うことはなんの益もない。はじめから重荷にしていたが、千貫という銀は、隠そうとしても隠しきれるものではない。吉之丞は、これも天命とあきらめかけたが、あれだけの銀子をむざと持ち去られるのかと思うと、無念でならない。みなとはいわないが、隠せるだけ隠しこんでやろうと、さり気ないようすで胴ノ間へ降りて行った。
吉之丞は渡海船を扱っていたので、さよ船の構造を知っている。和船ならいきなり棚板になるところに船梁が通っているため、舷の外板と内張の間に隙間があって、それが船底につづいている。舷の内張を一枚はずせば、船底へあるたけの銀子を落しこむことができる。咄嗟の仕事にしては骨が折れるが、やってやれないことはない。
内張の腰板は欅の大割で、脇差でこじりつけるくらいではビクともしない。それでも根気よくやっているうちに、板の合せ目が持ちあがってきて、手が入るだけの口があいた。