Clásicos japoneses con furigana
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るそんのつぼ
呂宋の壺
久生 十蘭
Lee 呂宋の壺 (るそんのつぼ) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 18.375 caracteres · 36 pantallas
いかにもよく似た姉弟で、姉のほうは十七八、弟のほうは十三ぐらいでもあろうか。どちらも気品のある凛々しいほどの面差で、たやすくは近づきかねるような、いかめしさがあった。姉のほうは紋綸子の大口の袴をつけ、弟のほうは固苦しい野袴をはいているが、弟のほうは、どこかなよなよとしているので、姉弟というより、兄妹というほうが似つかわしいような感じだった。
宿の主人の調べが行届くので、間もなく二人の素姓がわかった。癩で眼がつぶれ、関ヶ原の戦では輿に乗って指揮をしたという大谷刑部少輔吉継の子で、姉はモニカ真弓、弟はジェリコ菊丸。モニカは誇りの高い気質らしく、サンパンで送られてくる途中で、われわれ姉弟も癩者の血統だが、どうして二人だけを特別に扱うのかと、お舟手役人に抗議したということだった。
呂宋助左衛門の内儀は敦賀の大谷からきたひとだと聞いている。あの姉弟にたずねたら、助左衛門の所在がわかるのではなかろうかと、希望のようなものを感じだしたが、大谷の姉弟は、暑い盛りのマニラで、部屋からも出ずにひっそりと暮している。顔を見る機会もなかったが、ある日、宿の涼廊で行きあったのをひきとめて、助左衛門を探しまわっている苦心の段を披瀝すると、モニカは濡れ濡れした大きな眼で吉之丞の顔を見かえしながら、「助左衛門は安南にいるはずです。