Clásicos japoneses con furigana
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ぼっちゃん
坊っちゃん
Lee 坊っちゃん (ぼっちゃん) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 88.491 caracteres · 177 pantallas
湯の中では赤シャツに逢わなかった。もっとも風呂の数はたくさんあるのだから、同じ汽車で着いても、同じ湯壺で逢うとは極まっていない。別段不思議にも思わなかった。風呂を出てみるといい月だ。町内の両側に柳が植って、柳の枝が丸るい影を往来の中へ落している。少し散歩でもしよう。北へ登って町のはずれへ出ると、左に大きな門があって、門の突き当りがお寺で、左右が妓楼である。山門のなかに遊廓があるなんて、前代未聞の現象だ。ちょっとはいってみたいが、また狸から会議の時にやられるかも知れないから、やめて素通りにした。門の並びに黒い暖簾をかけた、小さな格子窓の平屋はおれが団子を食って、しくじった所だ。丸提灯に汁粉、お雑煮とかいたのがぶらさがって、提灯の火が、軒端に近い一本の柳の幹を照らしている。食いたいなと思ったが我慢して通り過ぎた。
食いたい団子の食えないのは情ない。しかし自分の許嫁が他人に心を移したのは、なお情ないだろう。うらなり君の事を思うと、団子は愚か、三日ぐらい断食しても不平はこぼせない訳だ。本当に人間ほどあてにならないものはない。あの顔を見ると、どうしたって、そんな不人情な事をしそうには思えないんだが――うつくしい人が不人情で、冬瓜の水膨れのような古賀さんが善良な君子なのだから、油断が出来ない。