Clásicos japoneses con furigana
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ぼっちゃん
坊っちゃん
Lee 坊っちゃん (ぼっちゃん) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 88.491 caracteres · 177 pantallas
おれは単簡に当分うちは持たない。田舎へ行くんだと云ったら、非常に失望した容子で、胡麻塩の鬢の乱れをしきりに撫でた。あまり気の毒だから「行く事は行くがじき帰る。来年の夏休みにはきっと帰る」と慰めてやった。それでも妙な顔をしているから「何を見やげに買って来てやろう、何が欲しい」と聞いてみたら「越後の笹飴が食べたい」と云った。越後の笹飴なんて聞いた事もない。第一方角が違う。「おれの行く田舎には笹飴はなさそうだ」と云って聞かしたら「そんなら、どっちの見当です」と聞き返した。「西の方だよ」と云うと「箱根のさきですか手前ですか」と問う。随分持てあました。
出立の日には朝から来て、いろいろ世話をやいた。来る途中小間物屋で買って来た歯磨と楊子と手拭をズックの革鞄に入れてくれた。そんな物は入らないと云ってもなかなか承知しない。車を並べて停車場へ着いて、プラットフォームの上へ出た時、車へ乗り込んだおれの顔をじっと見て「もうお別れになるかも知れません。随分ご機嫌よう」と小さな声で云った。目に涙が一杯たまっている。おれは泣かなかった。しかしもう少しで泣くところであった。