Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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こうふ

坑夫

夏目 漱石

Lee 坑夫 (こうふ) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 141.690 caracteres · 283 pantallas

Aozora Bunko

何にでも上には上があるもんだ。これが行き留りだの、突き当りだのと思って、安心してかかると、とんだ目に逢う。しかしこの時はこの心持が自分に取ってもっとも新しくて、しかもはなはだ苦い経験であった。

長蔵さんのどてらの尻を嗅ぎながら改札場から表へ出ると、大きな宿の通りへ出た。一本筋の通りだが存外広い、ばかりではない、心持の判然するほど真直である。自分はこの広い往還の真中に立って遥か向うの宿外を見下した。その時一種妙な心持になった。この心持ちも自分の生涯中にあって新らしいものであるから、ついでにここに書いて置く。自分は肺の底が抜けて魂が逃げ出しそうなところを、ようやく呼びとめて、多少人間らしい了簡になって、宿の中へ顔を出したばかりであるから、魂が吸く息につれて、やっと胎内に舞い戻っただけで、まだふわふわしている。少しも落ちついていない。だからこの世にいても、この汽車から降りても、この停車場から出ても、またこの宿の真中に立っても、云わば魂がいやいやながら、義理に働いてくれたようなもので、けっして本気の沙汰で、自分の仕事として引き受けた専門の職責とは心得られなかったくらい、鈍い意識の所有者であった。