Clásicos japoneses con furigana
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ほうおんき
報恩記
Lee 報恩記 (ほうおんき) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 14.803 caracteres · 30 pantallas
(微笑)伴天連のあなたを疑うのは、盗人のわたしには僭上でしょう。しかしこの約束を守らなければ、(突然真面目に)「いんへるの」の猛火に焼かれずとも、現世に罰が下る筈です。
もう二年あまり以前の話ですが、ちょうどある凩の真夜中です。わたしは雲水に姿を変えながら、京の町中をうろついていました。京の町中をうろついたのは、その夜に始まったのではありません。もうかれこれ五日ばかり、いつも初更を過ぎさえすれば、必ず人目に立たないように、そっと家々を窺ったのです。勿論何のためだったかは、註を入れるにも及びますまい。殊にその頃は摩利伽へでも、一時渡っているつもりでしたから、余計に金の入用もあったのです。
町は勿論とうの昔に人通りを絶っていましたが、星ばかりきらめいた空中には、小やみもない風の音がどよめいています。わたしは暗い軒通いに、小川通りを下って来ると、ふと辻を一つ曲った所に、大きい角屋敷のあるのを見つけました。これは京でも名を知られた、北条屋弥三右衛門の本宅です。同じ渡海を渡世にしていても、北条屋は到底角倉などと肩を並べる事は出来ますまい。しかしとにかく沙室や呂宋へ、船の一二艘も出しているのですから、一かどの分限者には違いありません。