Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ばいしょくかもなんばん

売色鴨南蛮

泉 鏡花

Lee 売色鴨南蛮 (ばいしょくかもなんばん) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 13.926 caracteres · 28 pantallas

Aozora Bunko

ついでがございますから……」

宗吉はわざと格子戸をそれて、蚯蚓の這うように台所から、密と妾宅へおとずれて、家主の手から剃刀を取った。

間を隔てた座敷に、艶やかな影が気勢に映って、香水の薫は、つとはしり下にも薫った。が、寂寞していた。

露路の長屋の赤い燈に、珍しく、大入道やら、五分刈やら、中にも小皿で禿なる影法師が動いて、ひそひそと声の漏れるのが、目を忍び、音を憚る出入りには、宗吉のために、むしろ僥倖だったのである。

八

「何をするんですよ、何をするんですよ、お前さん、串戯ではありません。」

社殿の裏なる、空茶店の葦簀の中で、一方の柱に使った片隅なる大木の銀杏の幹に凭掛って、アワヤ剃刀を咽喉に当てた時、すッと音して、滝縞の袖で抱いたお千さんの姿は、……宗吉の目に、高い樹の梢から颯と下りた、美しい女の顔した不思議な鳥のように映った――

剃刀をもぎ取られて後は、茫然として、ほとんど夢心地である。

「まあ! 可かった。」

と、身を捻じて、肩を抱きつつ、社の方を片手拝みに、

「虫が知らしたんだわね。いま、お前さんが台所で、剃刀を持って行くって声が聞えたでしょう、ドキリとしたのよ。