Clásicos japoneses con furigana
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やこうちゅう
夜光虫
織田 作之助
Lee 夜光虫 (やこうちゅう) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 66.871 caracteres · 134 pantallas
「あッ!」
と思った。
出口に近く、釣革にぶら下っている腕を見たのだ。
青い刺青の腕だ。その横にさっきの唖の娘が乗っていた。
やがて、電車が上本町六丁目に著いたので、小沢が降りようとすると、その刺青の男も娘と一緒にそこで降りた。
作者はここでいささか註釈をはさみたい。
――偶然というものは、ユーモアと共に人生に欠くべからざる要素である。
ユーモアのない人生なんて、凡そ糞面白くないものだが、同時に、人生から偶然というものを取り除いてしまえば、随分味気ないことになるだろう。
しかも、偶然の面白さというものは、こいつが続き出すときりがないという点にある。
余り上品でない比喩を使って言えば、偶然というやつは、まるで金魚の糞のようにゾロゾロと続くものなのである。――
例えば……。
小沢十吉がたまたまはいった梅田の闇市場の食堂で、刺青をした男が唖の浮浪少女と連立って出るところを目撃した――という偶然は、ただそれだけでは大したこともないと言えるが、やがて乗った市電の中に、その二人も乗り合わせていたという偶然と折重ってみると、既に何となくただごとでなくなって来る。