Clásicos japoneses con furigana
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あやかしのつづみ
夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓
夢野 久作
Lee 夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓 (あやかしのつづみ) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 76.558 caracteres · 153 pantallas
それは地獄の底深く一切を怨んで沈んで行った魂が、有り難いみ仏の手で成仏して、次第次第にこの世に浮かみ上って来るような感じであった。
みるみる鼓の音に明る味がついて来てやがて全く普通の鼓の音になった。しかも日本晴れに晴れ渡った青空のように澄み切った音にかわってしまった。
「イヤア……△……ハア……○……ハアッ○……○○」
それは名曲「翁」の鼓の手であった。
「とう――とうたらりたらりらア――。所千代までおわしませエ――。吾等も千秋侍らおう――。鶴と亀との齢にてエ――。幸い心にまかせたりイ――。とう――とうたらりたらりらア……」
と私は心の中で謡い合わせながら、久しぶりに身も心も消えうせて行くような荘厳な芽出度い気持になっていた。
やがてその音がバッタリと止んだ。それから五、六分の間何の物音もない。
私は前の雨戸に手をかけた。スーッと音もなく開いたので私は新しいゴム靴を脱いで買い立ての靴下の塵を払って、微塵も音を立てずに思い出の多い裏二階の梯子を登り切って、板の間に片手を支えながら襖をソロソロと開いた。
……………………
私はこのあとのことを書くに忍びない。