Clásicos japoneses con furigana
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おおとりものせんにんつぼ
大捕物仙人壺
国枝 史郎
Lee 大捕物仙人壺 (おおとりものせんにんつぼ) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 47.606 caracteres · 97 pantallas
「求型という所さ」
「一体どこの人だろう?」
「お前そいつを知らねえのか。――伊丹屋の若旦那だよ」
「え、伊丹屋? じゃ日本橋の?」
「ああそうだよ、酒問屋の」
「だって源ちゃん変じゃないか、ここはお前江戸じゃないよ」
「信州諏訪でございます」
「それだのにお前伊丹屋の……」
「ハイ、別荘がございます」
「おやおやお前さん、よく知ってるね」
「ちょっと心配になったから、実はそれとなく探ったやつさ」
「おや相変らずの甚助かえ」紫錦ははすっぱに笑ったが「苦労性だね、お前さんは」
「何を云いやがるんでえ、箆棒め、誰のための苦労だと思う」
「アラアラお前さん怒ったの」
面白そうに笑い出した。
「おい紫錦、気を付けろよ、いつも道化じゃいねえからな」
「紋切型さね、珍らしくもない」
紫錦はすっかり嘗めていた。
ところでその晩のことであるが、桔梗屋という土地の茶屋から、紫錦へお座敷がかかって来た。
「きっとあの人に相違ないよ」こう思いながら行って見ると、果して座敷に伊太郎がいた。
さすがに大家の若旦那だけに、万事鷹様に出来ていた。
酒を飲んで、世間話をして――いやらしいことなどは一言も云わず、初夜前に別れたのである。