Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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おおとりものせんにんつぼ

大捕物仙人壺

国枝 史郎

Lee 大捕物仙人壺 (おおとりものせんにんつぼ) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 47.606 caracteres · 97 pantallas

Aozora Bunko

「痣があるのでございますの」

「まあ、そうかえ、痣がねえ」

お琴は意外な顔をした。

6

紫錦は伊丹屋へ来て以来、その名をお錦と呼び変えられていた。そのお錦の最近の希望は、女中も連れず、ただ一人で浅草辺りを歩いて見たいことで、もしそれが旨く行こうものならどんなにのうのうするだろう――こう彼女は思うのであった。

で或日外出した時、うまうま途中で女中をまいた。喜んだお錦はその足で浅草の方へ歩いて行った。浅草奥山の賑は今も昔も変りがなく、見世物小屋からは景気のよい囃子の音が聞こえてきた。恐ろしいような人出であった。

観音様へお賽銭を上げ、それからお堂の裏手の方へ宛もなく彼女は歩いて行った。

「オイ紫錦さん、紫錦さんじゃないか!」

誰やら背後から呼ぶ者があるので彼女は驚いて振り返った。

「おや、お前、トン公じゃないか?」

「ナーンだ、やっぱり紫錦さんか」

昔のお仲間、道化のトン公、三尺足らずの福助頭――それが笑いながら立っていた。

「たしかにそうだとは思ったが、何しろ様子が変っているだろう。穏し作りのお嬢さん、迂闊り呼び掛けて人異いだったら、こいつ面目がねえからな。それでここまでつけて来たのさ」