Clásicos japoneses con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lee 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 200.314 caracteres · 398 pantallas
悪縁に結ばれた夫婦の仲は濃い酒を絶えず飲みつづけているようなもので、飲んでいる間はおたがいに酔の中に解け合ってしまいますけれども、それが醒めかけた時はおたがいの胸にたまらないほどの味気なさが湧いて来ます。その故に或る時は、二人の間に死ぬの生きるのというほど揉め出すかと思えば、或る時は水も洩らさぬほどの親しみが見えるのです。
「坊は寝たか」
「はい、すやすやと寝入りました」
「酒はまだあるか」
「まだありましょう」
「こう降りこめられては所在がない、また酒でも飲んで昔話の蒸し返しでもやろうかな」
「それが御無事でござんしょう」
お浜は寝入った郁太郎を、傍にあった座蒲団を引き寄せてその上にそっと抱きおろし、炬燵の蒲団の裾をかぶせて立とうとすると、表道で爽やかな尺八の音がします。
「ああ尺八……」
竜之助もお浜も、にわかに起ってそうしてこのしんみりした雪の日、人の心を吸い入れるような尺八の音色に引かれて静かにしていると、その尺八は我が家のすぐ窓下に来て、冴え冴えした音色をほしいままにして、いよいよ人の心を嗾るようです。
「よい音色じゃ、合力をしてやれ」
お浜が鳥目を包んで出すと、外では尺八の音色がいよいよさやかに聞えます。