Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

Lee 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 200.314 caracteres · 398 pantallas

Aozora Bunko

主人はこう命令すると、女中どもはみどりを芳村の隣席へ押据える。

「みどり殿、遠慮してはいけない、さあ、この札をよく見て、それから自分の前へ斯様なあんばいに並べてお置きなされ、よいか、あれにて神尾殿が読み上げたなら、遠慮なく拾い取り候え」

芳村はそう言いながら札を取って、みどりの前に並べてくれます。

「わたくし、まだ札の取り方も一向に存じませぬ」

「いいや、むつかしいことはない、自分の前だけ守っておれば仔細はない、その代り、自分の前を人に拾われたら一大事じゃ」

みどりは百人一首の歌だけは覚えておりますけれど、こんなふうに札の取り合いをしたことがないので、ただもじもじしていると、

「よろしいか、はじめるぞよ」

主膳は咳払いして席を見廻し、

あらざらむ……

「しめた!」

芳村は手を伸べて、太田という隣席の札を一枚とんと指の先で刎ね上げました。一枚とられた太田は何のためか、締めていた帯を解いてポンと向うへ投げ出す。

みどりが呆れている間に、

夜をこめて……

眼も少々上ずっていた高萩が頓狂な声を出して、

「ありました」

身を躍り出して押えたのが、みどりの前の札でした。