Clásicos japoneses con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lee 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 268.946 caracteres · 520 pantallas
お銀様は月に乗じて、この平野の間を限りなく歩み歩んで行くと、野原の中に、一幹の花の木があって、白い花をつけて馥郁たる香りを放っている。その木ぶりも、太きに過ぎず、細きに失せず、配置に意を用いて植えたようなたたずまいですから、お銀様はその木ぶりを愛して、その香りに心を酔わしめられました。
ああこれは桂の花――と、お銀様の心がいよいよときめいて、その木の下に近づいて行くと、その幹の下に、木ぶり、花ぶりにふさわしいところの人が一人彳んでいました。
「ああ、新月、何とよい月ではありませんか」
花の木の下に彳んでいた、木ぶりにふさわしい人が、先方からお銀様に呼びかけたのであります。
「よい月でございますね」
とお銀様が受けこたえつつ、その人を見ますと、木ぶりには、しっくり合っているけれども、服装は全く見慣れない人でした。最初は奈良朝のそれと思って見ましたけれども、冠もちがえば、色彩の感じもちがう、これは支那の唐代の服装だと見てとってしまいました。それはまさしく、支那の唐代の風流貴公子といった、仇英の絵なんぞによくある瀟洒たる美少年なのでありましたが、
「あなたは、この新月がお好きだそうでございますね、さきほど『長安古意』