Clásicos japoneses con furigana
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ぶにんりしょうき
夫人利生記
泉 鏡花
Lee 夫人利生記 (ぶにんりしょうき) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 12.693 caracteres · 26 pantallas
紫袱紗の輪鉦を片手に、
「誰方の墓であらっしゃるかの。」
少々極が悪く、……姓を言うと、
「おお、いま立っていさっしゃるのが、それじゃがの。」
「御不沙汰をいたして済みません。」
黙って俯向いて線香を供えた。細い煙が、裏すいて乱るるばかり、墓の落葉は堆い。湿った青苔に蝋燭が刺って、揺れもせず、燐寸でうつした灯がまっ直に白く昇った。
チーン、チーン。――かあかあ――と鴉が鳴く。
やがて、読誦の声を留めて、
「お志の御回向はの。」
「一同にどうぞ。」
「先祖代々の諸精霊……願以此功徳無量壇波羅蜜。具足円満、平等利益――南無妙……此経難持、若暫持、我即歓喜……一切天人皆応供養。――」
チーン。
「ありがとう存じます。」
「はいはい。」
「御苦労様でございました。」
「はい。」
と、袖に取った輪鉦形に肱をあげて、打傾きざまに、墓参の男を熟と視て、
「多くは故人になられたり、他国をなすったり、久しく、御墓参の方もありませぬ。……あんたは御縁辺であらっしゃるかの。」
「お上人様。」
裾冷く、鼻じろんだ顔を上げて、
「――母の父母、兄などが、こちらにお世話になっております。」
「おお、」