Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

ja-reading.com

Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

おんなごころのつよければ

女心の強ければ

豊島 与志雄

Lee 女心の強ければ (おんなごころのつよければ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 47.011 caracteres · 94 pantallas

Aozora Bunko

脱ぎ捨てられてはいたが、然し、やはりそこに在った。柿沼に対する反感憎悪を、長谷川は千代乃から引き継いだ。千代乃の清い肉体をかき抱きながら、それを防衛するような気持ちで、彼は柿沼を憎悪した。

憎悪は、柿沼の面影をそこに喚び起した。暗鬱な影をまとった仮面、それは、人間らしい感情、すべて人間らしいものに対する、蔑視だった。極度の蔑視こそ、自らに深い影を帯びる。その影に、千代乃は慴えたのではなかったか。もう大丈夫、心配なことはない、そういう気持ちで、長谷川は千代乃の清い肉体を抱き庇った。

十

自活の途を見出す、というよりも、開拓するのに、千代乃は苦心していた。長谷川や伯母にはいつも相談し、知人にも相談した。いざとなると、さすがに、何でもやるというわけにはゆかず、何処にでも飛びこむというわけにはゆかず、いろいろと思いがけない故障も起った。

柿沼のことは、もう忘れたかのように口に出さなかった。

長谷川も、柿沼のことは口に出さなかった。然し、新たな懸念が生じてきた。

千代乃とあの一夜を過して以来、柿沼に対する憎悪の念が、根深く彼の胸に植えつけられていた。