Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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さいのひみつばこ

妻の秘密筥

佐々木 邦

Lee 妻の秘密筥 (さいのひみつばこ) de 佐々木 邦 (ささきくに) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 12.212 caracteres · 25 pantallas

Aozora Bunko

仕方がないから、金槌で叩き破る積りだったが、その金槌が見つからない。彼方此方探しているところへ家内が帰って来た。財布を忘れて行ったから電車に乗れなかったんだ」

「成程」

「秘密筥を持っているところを見つかってしまった。『あなた、何なさるの?』って、家内はひどく慌てゝ訊いた。もう仕方がないから、『この筥は何だ』と高飛車に出た。『何でもありませんわ』『何が入っている?』『何も入っていませんよ』『開けて見ろ』『あなたの御覧になるものじゃないんですから、堪忍して頂戴』と押問答が続いた。益※(二の字点、1-2-22)怪しいんだ。『よし、おれが開ける』と言って、火箸で抉ろうとしたら、仕方がなしに家内が開けた」

「赤いリボンの手紙の束かい?」

「僕もそうかと思って恐ろしかったんだが、何のことやれ、銀行の通帳だ。家内の奴、臍繰りを二百六十何円溜めていた」

「ふうむ」

「万一僕が失業した場合の用心だそうだ。長女の名前にしてあった。千円にしてから見せる積りだったと言う。天晴れ賢女だろう? 僕は頭が下ったよ」

「妙なところで惚気を聞かされた」

と海野君は驀地に逃げ出した。

僕は温泉土産の秘密筥と聞いて思い出した。