Clásicos japoneses con furigana
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うばすて
姥捨
Lee 姥捨 (うばすて) de Dazai Osamu (太宰 治) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 13.853 caracteres · 29 pantallas
死んだか? 自分の手のひらを、かず枝の口に軽くあてて、呼吸をしらべた。無かった。ばか! 死にやがった。わがままなやつだ。異様な憤怒で、かっとなった。あらあらしく手首をつかんで脈をしらべた。かすかに脈搏が感じられた。生きている。生きている。胸に手をいれてみた。温かった。なあんだ。ばかなやつ。生きていやがる。偉いぞ、偉いぞ。ずいぶん、いとしく思われた。あれくらいの分量で、まさか死ぬわけはない。ああ、あ。多少の幸福感を以て、かず枝の傍に、仰向に寝ころがった。それ切り嘉七は、また、わからなくなった。
二度目にめがさめたときには、傍のかず枝は、ぐうぐう大きな鼾をかいていた。嘉七は、それを聞いていながら、恥ずかしいほどであった。丈夫なやつだ。
「おい、かず枝。しっかりしろ。生きちゃった。ふたりとも、生きちゃった。」苦笑しながら、かず枝の肩をゆすぶった。
かず枝は、安楽そうに眠りこけていた。深夜の山の杉の木は、にょきにょき黙ってつっ立って、尖った針の梢には、冷い半月がかかっていた。なぜか、涙が出た。しくしく嗚咽をはじめた。おれは、まだまだ子供だ。子供が、なんでこんな苦労をしなければならぬのか。