Clásicos japoneses con furigana
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あんごのしんにほんちり
安吾の新日本地理
Lee 安吾の新日本地理 (あんごのしんにほんちり) de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 12.648 caracteres · 26 pantallas
熔岩はまんまと計略にかかって定めの通路を落ちるだろうという予定だね。十年前の私のように。
いま御神火茶屋から火口へ行くには、熔岩原を横断するわけにいかないから、外輪山と押しよせた熔岩の間に幅十米ぐらいのスキ間が残って谷をなしてるところを迂回して行くのであるが、大廻りだし砂の道だし、急いでも片道一時間かかるそうだね。私は行けなかった。視界二、三米という物凄いモヤにまかれて、とても歩かれない。おまけに熔岩原をわたってくるモヤだから人肌のように生あたたかいや。ちょッとゾッとしますよ。このモヤも火山の一味で、火山と同じように怪しき活動を行う魔物のような気がしたね。アッというまにベールをかけられ、モヤモヤと襟クビへ、フトコロへと忍びこまれて、にわかに視界を失ってモヤの中にただ一人沈没している。おまけに目かくしした奴が生あたたかいのだから妖しい気持だね。ホウホウのていで熔岩の上から這い降りて、御神火茶屋へ同行の青年に尻を押されて這い登りましたよ。気の弱い話だが、まア熔岩原の上で生あたたかいモヤにまかれてごらんなさい。
しかし、その日、どんなにモヤが深かったかというと、翌朝八百トンの貨物船が元村西南方一キロぐらいの岩礁上に坐礁してチョコンと乗っかっていましたよ。