Clásicos japoneses con furigana
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あんごのしんにほんちり
安吾の新日本地理
Lee 安吾の新日本地理 (あんごのしんにほんちり) de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 14.150 caracteres · 28 pantallas
ダイヤも、サファイヤも、ルビーも、真珠も、すべてそのケシ粒ほどの如きものすらも手にとって眺めたことが一度もないという貧乏性なのである。天賞堂の主人に頼んで、せめて宝石の見物だけでもさせて貰おうかと考えているのであるが、日本という貧乏国には、その宝石を所持すると必ず不幸が訪れるというような曰く附きの大宝石はなさそうだ。私はそういう大宝石が見たいのである。宝石の美は、魅力は如何。いっぺんぐらいシミジミ見たいのは人情だろう。御木本の百七十グレーンという真珠は白蝶貝やアコヤ貝じゃなくてアワビの中から現れたというから日本的である。島原の切支丹浪人が天草四郎を担ぎあげて天人に仕立てたとき、アワビの中からクルスが現れたなどと奇蹟をセンデンしたというし、池上本門寺の末寺にもアワビから出た仏像を拝ませるところがあった。たぶん出来損いの真珠であろう。宝石に魔力ありや? あったら、お目にかかりたい。魔力というものは、なつかしいや。しかし、実在するのだろうか。
志摩の海女も、御木本の真珠もあきらめて松阪へ牛肉を食いに行く。これ又、かねての念願である。松阪牛、和田金の牛肉と、音にきくこと久しいから、道々甚しく胸がときめくのである。