Clásicos japoneses con furigana
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あひるとさる
寺田寅彦随筆集 第五巻
寺田 寅彦
Lee 寺田寅彦随筆集 第五巻 (あひるとさる) de 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 194.515 caracteres · 389 pantallas
近ごろあるレストランで友人と食事をしていたら隣の食卓にインドの上流婦人らしい客が二人いて、二人ともその額の中央に紅の斑点を印していた。同じ紅色でも前記の素足の爪紅に比べるとこのほうは美しく典雅に見られた。近年日本の紅がインドへ輸出されるのでどうしたわけかと思って調べてみると婦人の額に塗るためだそうだという話をせんだって友人から聞いていたが、実例をまのあたりに見るのははじめてである。
いつか見た「バンジャ」という映画で、南洋土人の結婚式に、犠牲の鶏を殺してその血をちょっぴり鉢にたらし、そうして、その血を新夫婦が額に塗りまた胸に塗る場面があった。今度インド婦人の額の紅斑を見たときになんとなくそれを思い出して、何か両者の間に因縁があるのではないかという気がした。それからまた、「血」という字は「皿」の上に血液「ノ」を盛った形を示すという説を思い出し、「ノ」がどうして血の象徴になりうるかという意味が「バンジャ」の映画の皿の中の一抹の血を見てはじめてわかったような気もするのであった。
それはとにかく、額に紅を塗ったり、歯を染めたり眉を落としたりするのは、入れ墨をしたり、わざわざ傷あとを作ったりあるいは耳たぶを引き延ばし、またくちびるを鳥のくちばしのように突出させたりする奇妙な習俗と程度こそ違え本質的には共通な原理