Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
こむらたんさい
小村淡彩
宮本 百合子
Lee 小村淡彩 (こむらたんさい) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 11.488 caracteres · 23 pantallas
欲ばらず、惜げなく働かせられるから、下婢として重宝なばかりではない。彼女を家じゅうでの人気者、笑いの種にした或ることが、案外飲みに来る男の座興を助けることを発見したからであった。
せきについて、やっこらと敷居を片足ずつ跨ぎ、ろくは、膳や、飯櫃を抱えて客に出た。せきが、酒の酌などするのを眺めて、にたにたしつつ坐っている。自分も少し酒気を帯ると、せきは、きっと傍のろくに、
「ねえ、おろくさん、どう? この人じゃあ。きいて御覧よ」
と揶揄(やゆ)し始めた。曰くありげな言葉に、客は大抵、
「何だい」
と訊きかえした。
「いえ、ねえ、ハハハこのおろくさんがね、お嫁にいきたくて堪らないんですて。誰か世話してくれって、いつも訊いてるからね、貴方はどうかと思って」
「ほう、そいつは有難いね、へえ、そうかい、おろくさん、そんなにお嫁にいきたいのかい」
ろくは、そう云われるのばかりを待って、先刻から坐っているようであった。彼女は、五本の指が人並にすっきり離れていず、泥っぽい蹼(みずかき)でもついていそうな手で、食台の縁などこすりながら、
「ヘヘヘヘ」
と笑った。
「ハッハッハッ、ヘヘヘヘはいいね、ハッハッハッお前みたいな器量よしは引手あまたで困るだろう、ハッハッ、どうも恐れ入るな」