Clásicos japoneses con furigana
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しょうせつ えんちょう
小説 圓朝
正岡 容
Lee 小説 圓朝 (しょうせつ えんちょう) de 正岡 容 (まさおかいるる) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 163.270 caracteres · 325 pantallas
「だってお前ようく考えてみな」
ニンマリと師匠は笑って、
「お前、今朝早く暗いうちから歩いてきて眠かったろう」
「ヘイ」
言下に、肯いた。
「寒かったろう、まだ表は」
「ヘイ」
また肯いた。
「そして随分辛いともおもったろう」
「ヘイ」
三たび肯いた。
「その揚句にいま俺に突き飛ばされて池へ落っこちて、随分アッとおどろいたろう」
「……」
今度は黙って肯いた。
「それ眠い、寒い、辛い、それからアッと驚いたときと、つまりそういうときの呼吸の修業をいまのこらずお前は俺にやって貰ったんだ。こののち噺の中へでてくる人物が眠がるとき、寒がるとき、辛がるとき、アッと驚くとき、みんないまのこの呼吸を忘れないでやるんだぞ」
もういっぺんまたニンマリと笑って、
「分ったか、おい小圓太」
さらに烈しく、
「なあ分ったか、オイ分ってくれ」
「分り、分りました」
ああなるほど、そうだったのか、師匠のこのけさの心持は――。寒さも忘れて濡れ鼠のまま小圓太はお辞儀をした、またポタリポタリ雫が群がるきんぽうげの中へと落ちた。
「ウム」
満足そうに肯いて師匠は、
「分ったらいい。早くおしのに着物を乾かして貰って帰れ」