Clásicos japoneses con furigana
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さんけいにいくるひとびと
山谿に生くる人々
葉山 嘉樹
Lee 山谿に生くる人々 (さんけいにいくるひとびと) de 葉山 嘉樹 (はやまよしき) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 33.699 caracteres · 67 pantallas
おっそろしく、物事を構わない女であった。
「あれじゃあ、姑でなくたって、音を上げちゃうね」
と、小林も音を上げた位だった。
もっとも、「東京から女中が来る!」という噂が立った時の、小林飯場の動揺は大きかった。男ばかりの世界へ、独身の女、それもまだ若いのが来る、というのだ。物事を深く考えたり、観察したりする事は、労働者たちにとっては億劫であったが、若い女の、容貌や風姿、体臭などを想像することは、億劫などころか、大きな悦であった。
お睦の足は、踵の辺に、冬は氷河の亀裂のような赤ぎれが口を開いていたし、夏になると白く膿んだような、水虫に変質した。
が、飯場の若い衆たちは、外国人みたいに女の脚から、美や魅惑を、発見しようとはしなかった。
お睦を繞って、小林飯場の若い衆の間に、親切競争が捲き起こされた。
一日の長い、十一時間または十二時間の労働を終えて、草臥れ切った肩に、重い橋桁を担いで帰って、それを切って割って薪にするもの、その薪を、飯場の中の焚火の周りに立てかけて乾かすもの、そういう間接な好意でなく、いきなり睦ちゃんの、お尻を撫でる事によって、意志表示するもの。