Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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しまばらしんじゅう

島原心中

菊池 寛

Lee 島原心中 (しまばらしんじゅう) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 14.293 caracteres · 29 pantallas

Aozora Bunko

すると、先に上った警部は、上り詰めると、急に身体を右に避けるようにするのです。僕は、そんなことを気にしないで、かまわず上りきったのです。すると、梯子段を上りきった僕の足もとに、異様な品物が――その刹那は、本当にそう思ったのです――転がっているのです。が、はっと気が付いてみると、僕の靴下をはいた足は、そこの廊下に仰向けに倒れている女の、振り乱した髪の毛を、危く踏むところであったのです。その時の、僕の受けた激動は今でも幾分かは思い出すことができるのです。僕は、心中という以上、どこかの部屋の中にでも、尋常に倒れているものだと思っていたのです。よく見ると、心中はその梯子段を上ったとっつきの四畳半で行われたとみえ、女が倒れかかるはずみに、はずれたらしい障子の中の畳には、どろどろと凝り固まっている血が、一面にこびり付いているのです。その血の中に、更紗か何からしい古びた蒲団が、敷き放されていて、女の両足は、蒲団の上に、わずかばかりかかっているのでした。天井が、頭につかえるほど低い部屋の中は、小さい明り取りの窓があるだけで、昼でも薄暗いのですが、その薄暗い片隅には、心中前に男女が飲食したらしい丼とか、徳利などが、ごたごた片寄せられているのです。