Clásicos japoneses con furigana
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あるおんなのしょうがい
嵐・ある女の生涯
島崎 藤村
Lee 嵐・ある女の生涯 (あるおんなのしょうがい) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 47.846 caracteres · 96 pantallas
出発の前夜には、おげんは一日も離れがたく思う娘の側に居て、二人で一緒に時を送った。
「お新や、二人で気楽に話さまいかや。お母さんは横に成るで、お前も勝手に足でもお延ばし」
とおげんは言って、誰に遠慮もない小山の家の奥座敷に親子してよく寛いだ時のように、身体を横にして見、半ば身体を起しかけて見、時には畳の上に起き直って尻餅でも搗いたようにぐたりと腰を落して見た。そしてその度に、深い溜息を吐いた。
「わたしは好きな煙草にするわいなし」
とお新は母親の側に居ながら、煙草の道具を引きよせた。女持の細い煙管で煙草を吸いつけるお新の手付には、さすがに年齢の争われないものがあった。
「お新や、お母さんはこれから独りで東京へ行って来るで、お前は家の方でお留守居するだぞや。東京の叔父さん達とも相談した上で、お前を呼び寄せるで。よしか。お母さんの側が一番よからず」
とおげんが言ったが、娘の方では答えなかった。お新の心は母親の言うことよりも、煙草の方にあるらしかった。
お新は母親のためにも煙草を吸いつけて、細く煙の出る煙管を母親の口に銜えさせるほどの親しみを見せた。この表情はおげんを楽ませた。