Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Lee 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 365.120 caracteres · 728 pantallas

Aozora Bunko

三

「旦那様、どうぞ一とおりお聞きくださいまし」

泪に光った顔は、庭の松の樹の反映で、惣七にはみどり色にうつった。惣七はそれを不思議なものと見た。

「聞く――必要もあるまいが、ま、聞きましょう。しかしわたしを泣き落として、その二百五十両を払わせようと思っているなら、むだだ。よしたがよい。理由のないところに出す金は、わしには、一文たりともないのだ」

「まあ! 決してそんな――」

「気はないというのだな。ははははは、それで、大きに安心いたしたよ。何でも聞きましょう」

「払えるつもりで――払う目当てがあって、買ったのでございます」

「高音どの、お前さまはいったい、何者なのだ?」

「どうぞ、高音とだけは、お呼びくださいますな。いまのわたくしは、ほんとに、ただの高なのでございます」

「それは、まあ、どっちでもよいが――」

「わたくし、自分のお金といっていいものを、二千両ばかり、もっていたのでございます。けれど、どうしてあのとき、あんなに衣裳に浮き身をやつしたのか、自分でもわからないのでございます。きっと、離れかけていた良人のこころを、身を飾って取り戻そうと努めたのであろうと、じぶんのことながら、まるで他人事のようにしかおもわれないのでございます」