Clásicos japoneses con furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lee 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 365.120 caracteres · 728 pantallas
棒立ちになったきり、四つの眼は貸家札から離れない。主なき家のほとり、ひっそり閑として、春日いたずらにうららかである。
二ひら三ひら、微風に乗って舞うともなく白いものが落ちてくるので、振り仰ぐと、いままで気がつかなかったが、屋敷の横から饗庭家との境へかけて、これはまたみごとな老桜の林、八重には早いから今が彼岸の花盛りだ。ほめて酒を汲む人もないのに、惜しげもなく爛漫と咲き誇って、さながらうす紅色の綿雲をかけつらねたよう――。
うっとりとなった二人の頭へ、すぐに眼前の問題がかえって来る。
文次と安兵衛は顔を見あわせた。
「ねえ親分、ゆうべのうちに夜逃げしたものでしょうかねえ」
「いんや、そんなこたあるめえ。このはり紙がこう古くなるまでにあ、どうみたって二月、三月はかかろう。それに久七だって空家へ荷を入れるわけもねえし、また、ちゃんと出て来て受け取った者があるというんだからなあ」
「へえい! 狐につままれたような話ですねえ」
「そうよなあ」
感心とも当惑ともつかない体、二人ともぼんやりして、たがいの顔と表戸のはり紙を見較べているばかり。
これではきりがないと思ったか、文次は、