Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ひかげのまち

幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選

松本 泰

Lee 幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選 (ひかげのまち) de 松本 泰 (まつもとたい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 52.797 caracteres · 107 pantallas

Aozora Bunko

「儂の世話はアグネスという女中が見てくれるので、君の暇は充分ある。君の手紙には希望条件はないとあったが、ない事はあるまい。一年の給料は?」

「実は私はまだ給料というものを他人から貰った事がありませんし、それに私の仕事の性質も伺っていないので見当がつかないのです」

「よろしい。では給料の点は儂に任しておくがいい、それから君は何日何時でも旅行に出られるだろうね。儂が新聞広告で係累のない人間を求めたのはそうした理由だよ」

「すぐ其場から、何処へでも飛出してゆけます。然し私の仕事は?」

「仕事などは誰にでも出来る事だから、心配せんでもよろしい。ところで儂の方に条件があるが、それを聞いた上で返事をして貰わねばならぬ。

第一は儂の命令がない限り、如何なる用事があろうとも絶対にこの部屋へ入る事はならぬ。

第二は夜間九時以後は庭先を歩かぬ事。儂は寝付が不良くって困っておるのでな、夜分庭先などを歩かれると、気になって仕方がないのだよ」老人は微笑いながら更に言葉を続けて、

「それから飯田保次という君の姓だがね、呼び悪いからヒギンスと名乗って貰いたい」そのような他愛のない条件なら、何でもない。