Clásicos japoneses con furigana
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ひかげのまち
幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選
松本 泰
Lee 幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選 (ひかげのまち) de 松本 泰 (まつもとたい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 52.797 caracteres · 107 pantallas
ガスケルさんはそれで牢へ入らずに済んだが、その代りルグナンシェから、金を強請られていたのですよ。段々それが嵩じてきたので、嫂さんが死去ると間もなく、モニカ嬢を連れて、南アフリカのナタールへ逃げていったのです。ルグナンシェはそれで始終ガスケルさんの後を追い廻していたのですよ。ストランドの露路で殺された男ですか、あれはルグナンシェの仲間で、お嬢様に夢中になっていたんですよ。つまり、ルグナンシェに取っては邪魔な奴なんです。俺は昔からガスケル家に大変お世話になったもので、もとからの乞食ではありませんよ。いろいろな悪い奴等が御主人やお嬢様を付狙っているから、ああやって戸外で見張っていたのです。あの時貴郎が時間に遅れずに波止場へ来て呉れたらよかったのだが、ルグナンシェの奴が嗅付けてやってきた為に、すっかり番狂わせになってしまいましたっけ」老人は語り終ると、泡の消えたスタウトを呑乾して、ふらふらと店を出ていった。
ガスケル家に於ける私の十数日は、完全に夢となって消えてしまった。
公園の青空で、太陽が過去った冬の日を笑っている。世はもう春である。誰も陰惨な霧の日のことなどを思出す者はない。