Clásicos japoneses con furigana
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いくどめかのさいご
幾度目かの最期
久坂 葉子
Lee 幾度目かの最期 (いくどめかのさいご) de 久坂 葉子 (くさかようこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 59.103 caracteres · 121 pantallas
私はその時、その手をみつめながら感傷めいたものを胸に抱いた。
「器用やね」
姉が後で笑ったけれど、私にとっては笑えない気持だった。
三カ月程、毎日、そんな日がとぶようにすぎた。他愛のないことをしゃべり合ってて、私は幸福だった。姉もそうだった。又、家中の者が彼に好意を持った。そして母は当然、彼を姉の配偶者に選んだわけだった。その事で父母が相談しているのをきいた時、私は驚きはしなかったけれど必ずこの縁談を破ってやると決心した。単純に身近になれるという喜びなど持てようがない程私は恋をしていたのだ。姉に奪らせるなんて、私が敗けるなんて。と云って私は結婚の対象となるべき年齢ではない。どうせ彼は私以外の人と結婚するのだ。それならば姉以外の私の見知らぬ人の方がいいとさえ思った。姉をまんなかにして父母が話合っているのを隣の部屋で盗みぎきした私は、そうして父が本人に直接意志をきいてみようというその日の朝、いつもより早目に家を出た。
石段の下にいつものように足音を待つ。昨夜の二百十日の後で、今日はからりと晴れているが、川には茶褐色のどろ水がごうごう流れている。私はその音で彼の足音が消されはしないかと一心に耳をすます。