Clásicos japoneses con furigana
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おもいちがいものがたり
思い違い物語
山本 周五郎
Lee 思い違い物語 (おもいちがいものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 44.840 caracteres · 88 pantallas
彼は自分の部屋のほうへ曲りながら云った、「今は疲れ休めに帰ったんですが、明日から当分は帰れなくなるんです、あ、あの祝言は無事に済みましたか」
「ええ済みましたわ、そのことでわたくしお話があるんですけれど」
「とんでもない、この眼を見て下さい」彼は充血した自分の眼を、津留に指さして見せた、「――このとおり、眠くって眠くって、ぶっ倒れそうなんですから」
「ではお支度を致しますわ」
津留はいっしょに泰三の部屋へいった。そうして夜具をのべ、着替えをさせながら、結婚の晩に母や姉とやり合った問答の始終を語った。だが泰三はまったくうわのそらで、うんうんとなま返辞をし、欠伸をし寝衣になるとすぐさま夜具の中へもぐり込んでしまった。これでは埓があかない、津留は決心をして自分の意志を明白に通告した。
「そういうわけで、わたくしあなたと結婚することに致しましたの、ようございますわね、泰三さま」
「ああ結構、いいですとも」泰三は欠伸をしながら手を振った、「どうも有難う、おじさんには起きてから挨拶にゆきますから、では」
そして掛け夜具を頭からひっかぶった。津留はほっと太息をつき、かなり得意そうでもあり相当に複雑な微笑をうかべ、静かに立ってその部屋を出た。