Clásicos japoneses con furigana
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こいのでんしちろう
恋の伝七郎
山本 周五郎
Lee 恋の伝七郎 (こいのでんしちろう) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 29.650 caracteres · 60 pantallas
と、おろおろ声で云った、「もう云いたいことはすっかり申上げたし、なにも心のこりはありません、お宅まで送ってまいります、お立ち下さい」こう云って立たせようとした。そのときである、表の方から忠太郎が、「大変だ伝さん、こっちへ追手がやって来るぜ」と叫びながらとび込んで来た。「なに追手だって」「向うに梁瀬川へおちる小川がある、むかしいっしょに鮒や蟹を捕りにいったことがあった、あれを思いだしたので、少し遠いが走っていって水を汲んだ、二口みくち飲んで、伝さんの分を汲んで戻ろうとすると、川沿の道を提灯が十二三もやって来るんだ、いけねえと思って草籔の中へとび込み、這うようにして帰って来たんだが、追手はあの土橋の所で四方に分れた、そのうちの提灯が一つ、おれの後からいまこっちへやって来る」「そうか、それあ却って世話なしだった」「ど、どうするんだ伝さん」「見ていればわかる、話はあとだ、おまえはお嬢さんを伴れて後から来てくれ」そう云うなり伝七郎はまことに決然たる足どりで外へ出ていった。
彼が道へ出るのと殆んど同時に、提灯を持った一人の侍が北からやって来て、危くこちらと突当りそうになった、「誰だ」