Clásicos japoneses con furigana
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あくいんねんのうらみ
悪因縁の怨
江見 水蔭
Lee 悪因縁の怨 (あくいんねんのうらみ) de 江見 水蔭 (えみすいいん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 13.705 caracteres · 28 pantallas
後には胴の間へ行って到頭横になって了った。
宗匠の坊主頭と、梨の実と、空瓢箪と、眉間尺の三ツ巴。コツンコツンを盛んにやったが、なかなかに覚めなかった。
市助も舳で好い心持に寝て了った。
若殿と女船頭とただ二人だけ起きているのが、どちらからも口を利かないから、静かなものだ。
蘆間の仰々子もこの頃では大分鳴きつかれていた。
「姐さん……」
「はい……」
「お前の名は何んと申すか」
「……玉と申しますよ」
「お玉だね……玉川の川尻でお玉とは好い名だね。大層お前は親孝行だそうだね」
「いいえ……嘘で御座いますよ」
「両親は揃っているのかい」
「いいえ、母親ばかりで御座います」
「それは心細いね。大事にするが好い」
「まア出来るだけ、楽をさしたいと思いますが……餌掘りや海苔拾い、貝を取るのは季節が御座いますでね、稼ぎは知れたもので御座います」
「でも、こうして船を頼む人が多かろうから……」
「いいえ、偶にで御座いますよ。日に一度宛お供が出来ますと好いのですが、月の内には数える程しか御座いませんよ」
「それでは困るねえ、早く婿でも取らなくッちゃア……」
「あら、婿なんて……」
「だッて、一生独身で暮らされもしなかろう」