Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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あくじゅうへん

悪獣篇

泉 鏡花

Lee 悪獣篇 (あくじゅうへん) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 36.715 caracteres · 73 pantallas

Aozora Bunko

視詰めて、夫人は、

「…………」ものも得いわぬのである。

「ああ、剰銭と一所に遺失したんだ。叔母さんどの辺?」

と気早に向き返って行こうとする。

「お待ちなさいよ。」

と遮って上げた手の、仔細なく動いたのを、嬉しそうに、少年の肩にかけて、見直して呼吸をついて、

「銑さん、お止しなさいお止しなさい、気味が悪いから、ね、お止しなさい。」

とさも一生懸命。圧えぬばかりに引留めて、

「あんなものは、今頃何に化っているか分りませんよ、よう、ですから、銑さん。」

「じゃ止します、止しますがね。」

少年は余りの事に、

「ははははは、何だか妖物ででもあるようだ。」と半ば呟いて、また笑った。

「私は妖物としか考えないの、まさか居ようとは思われないけれど。」

「妖物ですとも、妖物ですがね、そのくなくなした処や、天窓で歩行きそうにする処から、黄色く※った処なんぞ、何の事はない婆の毛虫だ。毛虫の婆さんです。」

「厭ですことねえ。」と身ぶるいする。

「何もそんなに、気味を悪がるには当らないじゃありませんか。その婆に手を握られたのと、もしか樹の上から、」

と上を見る。藪は尽きて高い石垣、榎が空にかぶさって、浴衣に薄き日の光、二人は月夜を行く姿。