Clásicos japoneses con furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lee 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) de 室生 犀星 (むろうさいせい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 113.554 caracteres · 228 pantallas
そして彼女の弱点につけ込んでゆくような卑しい恥かしさが度を増して、彼女が町角をまがって見えなくなってしまったあとで、ひとりで顔が赤くなった。
寺の記帳場では、
「近頃ちっとも彼の女が来ないようですね。あの人が来なくなってから、間違いがなくなったが、やはりあの女は怪しい――。」と記帳の年寄が言った。
「だって僕が幾度も隙見をしていたけれど、怪しいことがなかったんだもの。」
しかし心の内では、年寄連が私のああした仕事を知っているらしくも思われたりして、いつも、いい加減に座をはずすのであった。
私は机に向っているときでも、よくあの女の皮膚の一部や、粗雑なだけ親密になれるような物腰、それとははっきり判らなかったが、印象の深い微笑などがあの日から目にうかんで来て、我知らず、お留守組町まで用もないのに歩くことがあった。たとえば、玄関先の雪駄の紅い鼻緒にしろ、要の若葉の朱いのにしろ、その前庭の土の工合までが、一つ一つ懐しいもののように目に触れてくるのであった。ことにああいう盗みなどをするという大胆さの底には、きっと優しい、私の心を容れてくれるものが湛えられているように思われた。