Clásicos japoneses con furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lee 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) de 室生 犀星 (むろうさいせい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 113.554 caracteres · 228 pantallas
「姉さん。僕の母は――。」
私は時時言ったものだ。姉は思いやりの深い目で、そんなとき、いつもするように私を優しく抱きながら、
「どこかで仕合せになっていらっしゃいますよ。そんなことをこれから言わないで頂戴。」と言ってくれた。
「何処なんだ。」
私はすぐに烈しく昂奮した。何者にもたえがたい激怒は、母のことになると最も信頼していた姉にまで及んだ。
「そんなこわい顔をしては厭。」
「僕の顔はコワいんだ。」
私は姉から離れた。こんなときは、姉でも私の心を知ってくれないように、生ぬるい感じのもとに怒りをかんじた。もう姉さんなんぞはいても居なくても、また、愛してくれても呉れなくてもいいとさえ思っていた。世界じゅうが私を不幸にするように思って、私は益益深く怒るのであった。
「姉さんに僕の心がわかるものか。」
私はすぐ表へ駈け出すのであった。たった一人の友であるものから離れて、ひとり裏町や空地などを歩いていた私には、木やそのみどりも人家も別なものに思われた。何も彼も冷たく悲しかった。
そんなときは、何にも言わない白が尾いて来た。そして彼がみな解っているような悲しい顔をしていた。