Clásicos japoneses con furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lee 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) de 室生 犀星 (むろうさいせい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 113.554 caracteres · 228 pantallas
」
「一度もないの。」
「そう。いまに送ってあげるわ。」
「きっとだね。」
私は笑いながら約束した。
「それまで此処ンちにいるでしょう。」
「いますとも。ボンタンの来るのを待っていますよ。」
私どもはまるで子供のように、しゃべくっていると、ふじ子は表に目をやると、
「おじさん。誰か来てよ。いやなひとよ。わたしあっちィ行ってよ。」と小声で言った。
「え。あとでまたいらっしゃい。」
私はすぐ不安にとらわれた。このごろは定って人さえ来れば胸さわぎを感じた。ことに今日ははげしくそれがした。
「ごめんなさい。」という、太い声がした。
私は玄関へ出て行った。
そこに黒の木綿の羽織袴という姿で、色の黒い顔の、眼の底深い男が立っていた。私が出ると、
「あなたが室生さんですか。」と言った。私は、
「そうです。君は誰方です。」
というと、かれは一枚の名刺を出した。手にとって見ると、駒込署高等掛刑事××とあった。私は背後に水をあびたような不快さを感じた。
「何か御用でしたか。ともかくお這入り下さい。」
「では失礼します。」と室へ上った。かれは私の室をじろじろ見廻した。その目はたえずあたりに向って、鋭く、細密な観察をしているのであった。