Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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あるしょうじょのしまで

或る少女の死まで 他二篇

室生 犀星

Lee 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) de 室生 犀星 (むろうさいせい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 113.554 caracteres · 228 pantallas

Aozora Bunko

私ははやく仕事をしたいと思った。はやく帰ってくれればいいと思った。

「お酒はよほどおやりになりますか。」

「ほんの少しです。毎日やりません。」

「酒の上ではよく失敗があるものですね。酒は慎むべきです。」

「いや大変お邪魔をしました。私が来たって御心配に及びませんから。」と出て行った。かれを表へ送り出すと、あの晩の出来事がいつまでも自分のまわりに、いつも自分の気分や仕事の上に覆いかかって、自分を暗くすることを感じた。

私は永い間、窓のところに佇んでいた。私のまわりがすっかり網を張られているような、たえまない犯罪者の恐怖をかんじることが、もう二タ月後にまで襲ってくることを忌忌しく感じた。これらの苦しい想念から遁れるために、私は旅行のことを考えたりした。

そこへボンタンが来た。

「お客様がおかえりになって――。」

「帰ってしまったの。」

「おじさんのお友だち――? あの方は。」

「いや、ちがう。何んでもない人。」

「おじさんはあの人をきらいでしょう。おじさんはいやな顔をなすっていらしったもの。」

「まあ、きらいな方ですね。――」

私はこの敏感な少女の目を見た。この目こそ本当のものと嘘のものとを、直覚的に見る目だと思った。