Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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あるひのおおいしくらのすけ

或日の大石内蔵助

芥川 竜之介

Lee 或日の大石内蔵助 (あるひのおおいしくらのすけ) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 8830 caracteres · 18 pantallas

Aozora Bunko

すべてが、彼の道徳上の要求と、ほとんど完全に一致するような形式で成就した。彼は、事業を完成した満足を味ったばかりでなく、道徳を体現した満足をも、同時に味う事が出来たのである。しかも、その満足は、復讐の目的から考えても、手段から考えても、良心の疚しさに曇らされる所は少しもない。彼として、これ以上の満足があり得ようか。……

こう思いながら、内蔵助は眉をのべて、これも書見に倦んだのか、書物を伏せた膝の上へ、指で手習いをしていた吉田忠左衛門に、火鉢のこちらから声をかけた。

「今日は余程暖いようですな。」

「さようでございます。こうして居りましても、どうかすると、あまり暖いので、睡気がさしそうでなりません。」

内蔵助は微笑した。この正月の元旦に、富森助右衛門が、三杯の屠蘇に酔って、「今日も春恥しからぬ寝武士かな」と吟じた、その句がふと念頭に浮んだからである。句意も、良雄が今感じている満足と変りはない。

「やはり本意を遂げたと云う、気のゆるみがあるのでございましょう。」

「さようさ。それもありましょう。」

忠左衛門は、手もとの煙管をとり上げて、つつましく一服の煙を味った。