Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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とりものしょうせつのむずかしさ

捕物小説のむずかしさ

野村 胡堂

Lee 捕物小説のむずかしさ (とりものしょうせつのむずかしさ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 1798 caracteres · 4 pantallas

Aozora Bunko

というが、三百篇も捕物を書いていると、そんな事は大した問題ではない。碁打が詰碁の新題を考え、将棋差しが詰将棋の新手を考えるのと大した違いは無く、毎月二つや三つはどうにかなるのであるが、一番悩ませられるのは、毎篇違った人間を創り出して、違った心と心の接触を描いて行くことの六つかしさである。勿論それは不可能に近いことで、その度毎に私を悩み抜かせ、焦立たせ、絶望させているのである。

私は「銭形平次」を書き始めた頃は、大袈裟な道具立てと、怪奇な筋と、物々しい身振りで読者を驚かそうとした当時の所謂大衆読物の型に、一応は踉いて行ったものである。が、間もなくその馬鹿馬鹿しさに気が付いて四五篇でその型から蝉脱することに骨を折るようになった筈である。捕物文学の中に、今でもこの旧い型の残っているのは、まことに苦々しい事で、自他共にこれは警戒すべきであると思う。

ワトソン役として、八五郎を発見したのは四回目の「呪いの銀簪」からであったが、平次の受け役として、八五郎の存在は、筋の運びを滑らかにし、全体の調子を明るくしてくれたことは争い難く、平次を二百回以上書かせたのは、八五郎の手柄であったと云っても差支えはない。