Clásicos japoneses con furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lee 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) de 室生 犀星 (むろうさいせい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 177.454 caracteres · 357 pantallas
真暗な口を開いている階段の下から抜ける、雨戸漏れの空気のゆらぎが一層冷たく脇の下を通りすぎた。
「しかし何んでもないんでしょう、見廻るほどのことも無い――」
松岡は部屋の方へかえろうとしたが、主婦はまた言った。
「何んでもないんでしょうが、一寸、お廻りくださいませんか?」
松岡は黙って立ち竦んだ。
しんと虫のこえがした。
「わたくしも安心してねむれるんですもの。」
「厭だな。」
「そんなことを仰有らないで見廻ってくださいな。」
「何んでもないんですよ、あれから後に何も物音がしないじゃありませんか。」
松岡は耳をすました。
「そりゃ、そうですけれど、こんな晩には見廻って置いた方がようございますからね、安心ができますから。」
「あなたが廻ったらどうです、ばかに此処は寒い。」
「でもあなたは男の方じゃありませんか、そんな弱い……」
松岡は実際、二階へ下りる気がしなかった。唯、なにか知ら厭な気がして、滅入り込んで、考えるだけでもげっそりと痩せるような気がした。
「僕はもう寝ますよ。」
「そんなことを仰有らないで一寸下りて入らしってくださらない……」
「厭だな、」
「ではご一緒に廻って頂けませんか、その方がよございます。